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もはや未来の世界!?中国のIoT環境の進化はここまで来ている!

2019.08.26  インダストリー4.0ものづくり企業IoT基礎

キャッシュレス社会が提唱されて久しいですが、日本国内ではあまり順調に普及していません。消費増税を控えて現金以外の決済であれば優遇するとといった制度の提案などもあり、政府としてもキャッシュレス文化の普及に努めています。

そんな中、中国でのキャッシュレスそれに付随するIoTに関する現状は日本の今を上回っていることをご存知でしょうか?
今回はそんな中国のIoTに関する現状についてお伝えします。

中国でキャッシュレス文化が定着した背景

中国では何かを買ったりした際に支払いを行う場合、多額の現金は非常に嫌がられます。その背景には、中国の紙幣技術が未発達であることから、偽札が出回っているということにあります。実際に空港での両替などでは、人民元紙幣を偽札検知器に何度もかけるという場面に出くわした人も多いでしょう。

そんな偽札が出回る劣悪な紙幣環境であるからこそ、QR決済やクレジットカード決済などのキャッシュレス文化がいち早く根付いたということが言えます。
実際に決済を行う場合、中国版LINEともいえるWechatを使ってユーザ間の送金を行うという形で購入決済を行います。

日本で現金が重宝される理由を推測

こうしたシステムを構築するためにはITの環境や決済システムの整備など、費用がかかります。また、決済時のセキュリティに関しても非常に大きな課題として挙がってきます。セブンペイなどによる不正アクセスによる決済などが発生すると決済システムの信用にもつながります。

これは株式投資よりも貯蓄の志向が強いなど、中国人と比べると日本人の特徴として安全安心を重要視するというものが関係しているのではないかと感じます。その結果「わからないものは使いたくない」という方向に向かってしまい、現金決済を続ける人が多くなってしまうのではないかと考えます。

キャッシュレスシステムの導入には、コストがかかりますので、それに見合った利用がされないということになれば、店側も設置を見送ってしまうなどの条件が重なって、QR決済も店で使えない、現金を使い続けようという心境になってしまっているのではないかと考えます。

日本でのIoTが進まない理由とキャッシュレスが進まない理由が根本は同じ?!

日本人がキャッシュレス決済を利用せずに、現金を使用し続ける心理と、IoTが日本で今一つ普及していかない理由には共通するものがあると感じます。それは「わからないものは使いたくない」という心理と、安全安心を完璧に求めるが故にどうしても保守的になってしまっているということです。

上記の図は、デジタルネイティブの人口が多い国の順にランキングにしたものです。中国やインド、アメリカなどITに強いとされる国が多くランクインしています。その中で中国はデジタルネイティブの人口が桁違いに多くなっています。
IoTは情報通信を専門としてきている人にとっては、既存の技術の組み合わせでも、まったく専門外の人にとっては新しいものの連続です。IoTの効果を最大限に活用できるAIなどに至ってはまだ詳しい人は少ないという状況です。
こうした素人にとって「わからないもの」は本当にそれが安全なのかどうかということが分かりづらいものになります。工場のデータが外部に漏れてしまうのではないかということを執拗に気にしてしまっても、やはり動き出すことができません。セキュリティ対策にも限界があるので、ある程度の基準でクリアしたということにしなければ先には進んでいかないというものでもあります。
また、日本にもいるデジタルネイティブは若い世代となりますが、企業の主導権を握っているのはそれよりも上の世代であり、上の世代が積極的でないとなかなか革新的なIoTの導入にもつなげられないということも原因の一つでもあります。
日本人が完璧さを求めるが故に陥る保守的な部分も、IoTがなかなか普及しない背景とキャッシュレス決済が普及しない背景に共通する部分があると考えます。

中国では国をあげてIoT化に取り組んでいる

では、冒頭にもあったキャッシュレス決済が進んでいる中国ではIoTに関してはどのような現状なのでしょうか?
中国では現在、2025年までに中国が製造分野で世界の中位となることを目指した中国製造2025を発表しています。従来の低価格、低品質という中国製品の概念を払拭するために、製造業に対する設備投資を中国政府が実施して、中国製品の国際競争力を高めるという政策となります。
中国では国策として製造業強化を打ち出しており、その中でもIoTによるスマートファクトリー化は重点施策となっています。


こうした施策を受けて、中国の通信ベンダーや通信機器メーカもIoT向け製品や低価格の低速IoT専用回線(LPWA)のサービスやIoTプラットフォームのサービスなどを展開しています。

国土が広い分、IoTの効果も大きい

IoTの事例としてよく紹介されていますが、電気メータや水道メータの検針といった作業もIoTで、訪問することなく行う自動で行い効率化を実施するというものがあります。


こうした例も日本では、現在、そこまで国土が広くないため離島など限られた地域での検針業務の効率化にとどまっておりますが、中国では国土も広く人口も多いためこうしたIoTによる効率化は非常に効果を上げます。また、国がIoTに関する設備投資を行っているため、工場側としても日本と比べるとスマートファクトリー化を進めやすいという背景もあります。
これにより、地方の大規模工場などではチャイナモバイルなどが主体となったスマートファクトリー化施策により、製造にかかる時間(リードタイム)の短縮が図られ、それに伴い労働時間の短縮、製造コストの削減に貢献したという例も出てきております。


これらは、国の政策と実際にそれらを活用する製造業とが一体となって、国際競争力を高めようという結果が出始めているものと考えらえます。
スマートフォンなどを見ても中国製品の高品質化が進んでおり、最早低価格低品質の中国製品は過去のものとなりつつあります。

IoTで躍進する中国とそれに対する日本の現状

こうした中国の動きに対して、日本の製造業の現状を考えると、IoTの整備などスマートファクトリー化に後れを取っていると言わざるを得ない状況にあると感じます。中国での例のようにIoTによる製造業の効率化によるコスト削減まで達成できた工場はまだまだ少ないと言えます。


業務効率化においては、縦割り業務など日本独自の業務遂行の仕方なども大きく関わっていますが、スピード感としては、目に見えて高品質化を実現してきている中国と比較すると国際競争力は低下してきているのではないかと感じる部分も多くあります。


中国のシリコンバレーとも呼ばれている深センでは、ITやIoT分野での技術革新が日本では比較にならないスピードで進んでいます。その背景には欧米人とも引けを取らない効率を重要視した価値観と、新しいもの好きの国民性が起因しています。


その結果、中国のIT産業は低価格で高品質を実現し、アメリカが警戒するほどの存在となりました。これは日本が自動車産業で世界的に躍進した時代とよく似ています。
そんな中国に対して、今の日本の製造業にそこまで勢いがあるかと言われれば、NOと言わざるを得ないでしょう。

日本の現状でも打開策はある!

経済発展も著しい中国と比較すると、GDPでは世界2位となった中国と抜かれた世界3位の日本という構図がIoT分野でも同じことが言える結果となってしまいました。

しかし、今まで中国とは比べ物にならない少ない人口で世界2位のGDPを維持してきた日本にも、元々は効率化に関してはベースがあるものと考えます。現在の停滞は過去の成功体験としての戦後の製造業の大成功が尾を引いているのではないかとも感じます。

様々な業務の中でも、意味を考えたことがないが前任者からの引継ぎで何となく行っている業務プロセスなどもあるはずです。
そうした業務は当時は必要だったのかもしれませんが、現在は必要がないのかもしれません。業務時間が多い、残業が多いという中にはこうした業務も含まれていることは往々にしてあります。効率を重要視する中国では真っ先にこうした業務は取りやめを行います。このような細かい業務の効率化の先に、IoTやスマートファクトリーが見えてくるのではないでしょうか?

まとめ:日本の製造業はどうするべきか?

日本と中国では、文化が違うということが言えますが、同じ製品を世界市場に出せば国際競争力が重要になります。
その際に安くて高品質ということを実現して、中国は国際競争力を高めてきました。その中でIoTによるスマートファクトリー化は大きな役割を担っています。
IoTやスマートファクトリー化を行うことで労働時間の削減などにも貢献していることから、現在言われている人手不足にも対策として有効であると考えます。
日本でもIoT化などによる製造業の業務効率化に本気で取り組まなければ、国際競争力が低下し続け、世界に置いて行かれてしまう危険性すらあります。

“QRコードで出来た都市”深セン 「中国の夢」の今(18/10/24)  出典: ANNnewsCH