工作機械のトラブルは突然起こる? 原因と対策を検証
2023.09.11 メンテナンス、ものづくり企業IoT、工作機械
旋盤やフライス加工などを行う切削工具を自動で動かす工作機械は金属加工の工場ではなくてはならない存在です。
工場で当たり前のように稼働している工作機械は、ある日突然故障して動かなくなってしまうことがよくあります。
何の前触れもなく壊れてしまうから困る、という感想をお持ちの方も多いかもしれませんが、実は様々な前兆や故障に対する原因やちょっとしたことでできる対策などもあります。
そんな突然発生する工作機械の故障の原因と対策について検証します。
突然の故障による停止とオーバーホールによる計画停止
故障の発生原因と対策を考える前に、工作機械の停止について考えてみたいと思います。
工作機械が故障して困るのは、それが「突然発生する」ということです。
受注が増加してきて、納期も迫っている中で、一台しかない重要な工作機械が突然故障によって動かなくなってしまうことは、生産計画にとってとても致命的です。
そうなってしまう前に整備を行うために、あらかじめ停止期間を設けるオーバーホールとは異なる点です。
工作機械の故障防止のための整備によっては、停止期間を設けなければならないものもあります。
実際に故障を防止するために整備するのに、整備期間中は停止をする必要があるというのは、おかしいと感じる方も中にいるかもしれません。
でもそれはあらかじめ決められた停止期間と突発的な停止期間というあきらかな違いがあります。
機械の老朽化による故障
工作機械は、購入すればずっと使えるというものではありません。
特に多く稼働している工作機械は、稼働時間による寿命が決められている部品もありますので、稼働時間の増加に伴って故障する確率も上昇します。
機械の老朽化による故障は、消耗部品の交換により突発故障を未然に防ぐことが可能です。
老朽化による故障の兆候もいくつかありますが、定期的に各機器の状態を事細かにチェックしているような工場でなければ、工作機械の機微な変化に気づくことができません。
IoT機器を導入し、様々な機器の計測データから老朽化による故障の兆候をつかむ試みが始まっています。
IoT機器を導入していない工場では、導入年数や稼働時間による消耗部品の交換計画を立てることで、ある程度の故障を防止することが可能でしょう。
機械の日常メンテナンス不足による故障
工作機械の取扱説明書を見ると、ベルトの張り確認や駆動箇所への注油など細かい日常メンテナンスが推奨されています。
機械関係のものはほぼすべて日常的な点検やメーカによる分解整備以外のメンテナンスを行うことが稼働の前提となっていると言っても過言ではありません。
しかし、実際には日常の多忙な業務の中で、工作機械の日常メンテナンスが忘れられてしまっているということもよくあります。
こうした日常メンテナンスが行われて機械の製品寿命が担保されるという形になっています。
つまり、日常メンテナンスを行われていない状態の工作機械は早期故障を起こす可能性があります。
日常の業務で手いっぱいでなかなかそこまで目が向けられないという工場の従業員の方も多いかもしれませんが、日常メンテナンスを行うかどうかで機械故障の確率が変わってきます。
無理な運転や間違った使い方などのヒューマンエラー
工作機械を操作している方の中には、メーカの人間から見たら考えられないような操作で作業を行っている作業員の方もいます。
前任者からの工作機械の操作に関して、引き継いだままの操作で行っていた、などが主な理由です。
機械が耐えられるような操作であれば問題はないのですが、動作用モータなどに運転中に無理な負荷をかけ続けるような運転は、機械の寿命にも影響を及ぼします。
簡単な運転方法の変更や、操作手順の見直しなどでこうした使い方を改善することができます。
操作を行う従業員への教育や操作手順書など社内資料の見直しなどを行い、機械に対する無理な運転を避けるようにしましょう。
機械の故障だけでなく、メーカ想定外の故障によって操作者へのけがなどにもつながる可能性があります。
工作機械の取扱説明書や、メーカ技術員の意見などを取り入れて、正しい使い方で工作機械を稼働させるようにしましょう。
ちょっとした工夫で故障防止につながる
工作機械が今まで何年もの間ノーメンテナンスだった場合に故障が発生すると、大規模な修繕が必要になったり、場合によっては機械の更新となってしまうこともあります。
こうした故障発生が予測できればよいのですが、今の技術ではなかなかそこまでできていないというのが現状です。
故障発生は未だに確率論の世界であり、「この前買い換えた機械は20年以上持ったのに、今回は5年だ」といったことも発生しうる状況です。
メンテナンスを行うことで故障が発生する確率を低くすることができますが、故障が発生しないというわけではありません。
工作機械の故障には様々な要因が折り重なって、最終的に故障が発生するという状況ということを押さえておきましょう。
それを踏まえて、長く使用するために、正しい機械の使い方や日常メンテナンス、定期的なオーバーホールなどを行い、工作機械の寿命が短くならない配慮をしましょう。
工作機械の効率的なメンテナンスガイドの紹介
ここでは、工作機械のメンテナンスに関する重要なポイントをご紹介します。
1. 総合的な機械点検
- スクレーパーの磨耗状態の清掃と点検:スクレーパーは正確な作業に不可欠です。磨耗や汚れがある場合、清掃と点検を行いましょう。
- ヘッドストックおよびテールストック点検:これらの部分の調子が悪いと、正確な加工が難しくなります。点検を怠らないようにしましょう。
- 機械幾何誤差点検:精度を保つために、幾何学的な誤差を点検し、調整が必要なら行いましょう。
- カッターヘッド点検:切削工具の正確さが重要です。カッターヘッドの点検は欠かせません。
- ジブ締め点検:ジブがしっかりと締まっていることを確認し、動作の正確さを維持しましょう。
- 軸バックラッシュと反復精度点検:バックラッシュや反復精度の問題があれば、即座に対処しましょう。
- ボールねじ・リニアガイドの診断:ボールねじとリニアガイドが正常に動作していることを確認し、摩耗や損傷をチェックしましょう。
2. 電気/電子点検
- 安全および保護装置機能の評価:安全が確保されていることを確認しましょう。
- 軸位置測定装置の機能点検:正確な位置情報は品質に影響します。測定装置の点検を怠らないようにしましょう。
- 可動部品のケーブル接続状態の確認:ケーブルの接続が適切であるかを点検し、断線や破損を防ぎましょう。
- 電子機器のファンの状態を確認する:冷却ファンが正常に作動していることを確認し、過熱を防ぎましょう。
- 電動キャビネットエアコンの機能点検:エアコンが効果的に冷却しているか点検し、電子機器の安定性を保ちましょう。
- サーボモーターとトルクモーターの点検:モーターの正常な動作を確認し、電力の無駄を防ぎましょう。
- 機械ソフトウェアのバックアップとソフトウェアアーカイブの更新:ソフトウェアのバックアップと更新を行い、セキュリティと安定性を確保しましょう。
3. 補助機器の点検
- フィルタ洗浄および油圧システムのメンテナンス:油圧システムの正常な動作を保つために、フィルタの清掃と交換を行いましょう。
- フィルタ清掃および潤滑システムのメンテナンス:潤滑システムの点検と潤滑油の交換を怠らないようにしましょう。
- フィルタ清掃および空気圧システムのメンテナンス(供給されている場合):空気圧システムを含むすべての補助機器の点検を行いましょう。
- フィルタ洗浄およびクーラントシステムのメンテナンス(供給されている場合):クーラントシステムの清掃と冷却液の交換を行いましょう。
- 冷却システムのメンテナンス(供給されている場合):冷却システムが正常に動作していることを確認し、機械の過熱を防ぎましょう。
- フィルタ洗
信頼と技術で、機械の力を取り戻す西部商工株式会社
長年にわたり、様々な種類の工作機械の修理・保守に携わってきました西部商工株式会社です。豊富な経験と専門知識を持つ技術者たちが、お客様のニーズに対応する高品質なサービスを提供しております。
当社の特徴としては、以下の点に重点を置いています:
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- 迅速かつ効率的な対応: お客様の生産中断を最小限に抑えるため、故障が発生した際には迅速に対応します。修理にかかる時間を最小限に抑えながら、確実な作業を心掛けております。
- 予防保守サービス: 故障が発生する前に定期的なメンテナンスを行うことで、お客様の工作機械の寿命を延ばし、効率的な稼働をサポートします。
- 高品質な部品の使用: 修理に使用する部品は信頼性の高いものを厳選し、お客様の機械のパフォーマンスを最大限に引き出します。
- カスタマーサポート: 修理後もお客様の不安や質問に対応するために、アフターサポートを充実させています。万が一の再故障にも迅速に対応いたします。