テーパー面も対応可能なバニシング加工ツール
2024.09.03 バニシング
バニシング加工は、機械加工された表面に微細な仕上げを施し、表面の硬度や滑らかさを向上させる工程です。通常、旋盤やフライス盤などの工作機械を使用して行われます。バニシング加工は、素材の表面を高圧で摩擦させることで、微小な凹凸を均一にし、表面の光沢や精度を向上させることが目的です。この加工により、表面の摩擦係数が低下し、耐摩耗性が向上するため、機械部品の寿命が延びるというメリットがあります。
しかし、バニシング加工は万能ではなく、ワークの形状によっては適用できない場合があります。特に、複雑な形状や細かい部分では、従来のバニシングツールでは対応が難しいことがあります。例えば、以下のような形状が挙げられます。
- 球体やR面
- 面取りキワ
- 段付きキワ
- テーパー面
- 溝の側面および底面
- Oリング溝(R溝)
- 内径段付きキワ
これらの形状では、加工中の圧力や接触面の均一性を保つことが難しく、結果として均一な表面仕上げを得ることができない場合があります。
最新技術で対応可能なテーパー面加工
Integi社の最新バニシングツールは、従来のツールでは難しかったテーパー面や複雑な形状にも対応できるよう設計されています。今回紹介する3つのツールは、特にテーパー面や凹型の加工において優れた性能を発揮します。これにより、機械加工業界において、より多様なワーク形状に対応できるようになり、製品の品質向上や作業効率の向上が期待されています。
以下では、これらのツールの特徴と機能について詳しくご紹介します。
ツール1:HBM 20-E
HBM 20-Eは、スライド式旋盤用に設計されたバニシングツールで、特にテーパー面や凹型の加工に優れた性能を発揮します。このツールの特徴として、以下の点が挙げられます。
- 対応可能な加工形状:深さ4mmまでの凹型および30度までのテーパー部への加工が可能です。これにより、複雑な形状の部品にも高精度な仕上げを施すことができます。
- 圧力調整機能:内部スプリングシステムを備えたヘッドが、加工中の圧力を自動で調整し、常に均一な加工面を実現します。これにより、加工ムラや不均一な仕上がりを防ぐことができます。
- バニシングロール:アキシアルベアリング間で支持されており、安定した回転と長寿命を実現しています。これにより、工具の交換頻度を低減し、作業効率を向上させます。
- 対応素材:硬度45 HRCの各種材料に使用可能で、さまざまなワークに対応できる汎用性の高さが特徴です。
- 工具素材:超硬ピンを採用しており、耐摩耗性と高寿命を実現しています。また、ハイス製(62HRC)Uタイプのバニシングロールが付属しており、研磨面の粗さはRa<0.4に達します。
- 対応可能な形状:
HBM 20-Eは、特に精密加工が求められる分野において、優れた性能を発揮するツールです。その高精度な仕上げ能力と耐久性から、幅広い産業での活躍が期待されています。
ツール2:HBU 20
HBU 20は、旋盤用に設計されたバニシングツールで、特に端面や深さ4.5mmまでの凹型、そして60度までのテーパー部への加工に対応できる優れた性能を持っています。このツールの特徴は以下の通りです。
- 対応可能な加工形状:端面加工に加え、深さ4.5mmまでの凹型や、60度までのテーパー部への加工が可能で、複雑な形状の部品にも対応できます。これにより、広範な加工ニーズに応えることが可能です。
- 目盛付き回転ヘッド:精密な調整が可能な目盛付きの回転ヘッドを搭載しており、加工時の細かな設定を簡単に行えます。これにより、安定した仕上がりを実現します。
- 圧力調整機能:内部スプリングシステムを備えたヘッドが、常に均一な圧力を保ち、高精度な仕上げを実現します。この機能により、加工中の圧力変動を抑え、安定した品質を提供します。
- バニシングロール:アキシアルベアリングで支持されており、滑らかな回転と長寿命を実現しています。これにより、工具の交換やメンテナンスの手間を大幅に削減できます。
- 対応素材:硬度45 HRCの各種材料に使用可能で、幅広いワークに対応できる多用途性が特徴です。
- 工具素材:超硬ピンを採用しており、耐摩耗性に優れています。また、ハイス製(62HRC)Uタイプのバニシングロールが付属しており、研磨面の粗さはRa<0.4に達します。
- 対応可能な形状:
HBU 20は、その多用途性と高精度な仕上げ能力から、特に航空宇宙や自動車産業など、高精度が求められる分野での使用に適しています。複雑な形状にも対応できるこのツールは、製造工程の効率化と品質向上に貢献します。
ツール3:HBSD
HBSDは、外部形状のバニシング加工に特化したツールで、特に外径や複雑な外部形状の部品に対して優れた性能を発揮します。このツールの特徴は、以下の通りです。
- コンパクト設計:小型かつ軽量な設計で、限られたスペースでも取り扱いが容易です。これにより、狭いスペースでの作業や複雑な形状の部品にも対応できます。
- ダイヤモンドチップ:交換可能なダイヤモンドチップを採用しており、工具寿命が長く、高精度な仕上げを実現します。これにより、研磨面の粗さはRa<0.2に達します。
- 圧力調整機能:内部プリロードスプリングシステムを備えており、加工中の圧力を一定に保ちます。これにより、均一な加工面を提供し、高品質な仕上げを実現します。
- 対応素材:硬度63 HRCの各種材料に使用可能で、特に硬度が高い材料への加工に適しています。
- 対応可能な形状
HBSDは、特に外径や複雑な外部形状の加工が求められる分野で、その高精度な仕上げ能力と長寿命から高い評価を得ています。航空宇宙産業や精密機器製造業などでの使用に最適なツールです。
まとめ
今回紹介した3つのバニシングツール、HBM 20-E、HBU 20、HBSDは、それぞれ異なる特徴と利点を持ちながらも、いずれも高精度な仕上げを実現する優れた工具です。Integi社は1974年にスペインのバスク州で創業以来、旋盤やスライド式旋盤で使用可能で高品質な加工ができるバニシングツールをはじめとした各種ツール(ローレット、回転ブローチツール)を製造しております。バニシング加工でお困りの際は、西部商工株式会社までお問い合わせください。