ピンホール除去を目的としたバニシング加工 【正しい使い方の提案】
2024.11.27 バニシング
ピンホールとは、加工や成形工程で生じる部品表面の微小な穴や欠陥を指します。ピンホール除去は、以下のような目的で行われます:
- 外観品質の向上:部品表面を滑らかにし、見た目を美しくする。
- 耐久性・機能性の向上:表面欠陥による疲労や摩耗のリスクを軽減する。
- 顧客仕様の達成:高い表面精度を求める規格や顧客要求に応える。
バニシング加工は、ツールの圧力で表面を押しつぶしながら平滑化する方法で、ピンホール除去に特に効果的です。 弊社がお預かりしているバニシング加工ツールは、スペインのIntegi社製のものです。このツールラインは、高精度な表面仕上げを実現するために設計されており、ピンホール除去や表面の平滑化に最適です。以下、Integi社製ツールを活用したバニシング加工について、改善提案をまとめました。
ピンホール除去の加工条件と改善提案
1. 前加工の面粗度を改善する
Integi社製のバニシングツールは、前加工面の粗さが仕上がりに大きく影響します。メーカー推奨値であるRa<4を満たすよう、前加工の面粗度を見直すことをお勧めします。前加工が粗い場合、バニシング加工後の仕上げが不十分になる可能性があります。
2. 加工設備はNC旋盤を推奨
NC旋盤を使用することで、安定した加工が可能になります。汎用旋盤では、周速が一定でないことやクーラント未使用の場合が多く、品質が低下する可能性があります。ダイヤモンドバニシング加工では、必ずクーラントを使用してください。
3. 送り速度の調整
メーカー推奨の送り速度は0.05mm/rev~0.2mm/revです。最適な送り速度をすることで、より高品質な仕上げが得られます。
4. 切込み量を適正化する
ツールのスプリングシステムは最大1.0mmの伸縮が可能ですが、これは切込み量の許容値を示すものではありません。特にアルミ材の場合、伸縮量は0.005mm以内(メーカー推奨)に設定してください。切込み量が適切でないと、仕上げ精度が低下する恐れがあります。
加工条件の推奨値
- 切削速度(Vc): 100-200m/min
- 送り速度: 0.05-0.20mm/rev
- クーラント: 必須
まとめ
Integi社製ツールを用いたバニシング加工でピンホールを除去するためには、以下の改善策を採用してください:
- 前加工の面粗度を向上させる。
- NC旋盤を使用し、クーラントを必ず使用する。
- 送り速度を低く設定する。
- 適切な切込み量を設定する。
これらの提案に基づき、最適な加工条件でテストを行っていただければ、ピンホール除去と高品質な仕上げが実現可能です。ご不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。