LPWAの種類が増えた? 低速度通信によるIoTの今
2022.09.16 NEWS、基礎、工場IoT、産業用IoT
IoT向けの低速度通信であるLPWAについては過去に「5Gの時代に敢えて低速度通信?!実はIoTでメリットの多いLPWAの実態」でも取り上げました。
LPWAのメリットなどについては過去の記事を参照いただきながら、前回記事から約1年後のLPWAの現状も踏まえながら、LPWAの今後について検討してみたいと思います。
920MHz帯の従来型LPWA
LPWAの創成期よりサービスを提供していたsigfoxなどの超低速通信は100bpsというテキスト文を定期的に送る程度の速度しかありません。
しかし、速度が遅い反面、IoT機器用途に割り当てられている長距離通信可能な920MHz帯での使用が可能です。
これにより50km程度離れていても通信が可能で、超低速度のため電池の寿命が長いという特徴があります。
Sigfoxが超低速度で長距離伝送が可能というメリットを打ち出している反面、あまりに低速度過ぎて用途が限られているということで、同じ920MHz帯では200~600kbpsという過去のパソコン通信程度の速度を実現しているサービスもあります。
LoRaWAN、Wi-SUN、ZETAなどのサービスが該当します。
Sigfoxが50kmの伝送距離を実現しているのに対して、15~20kmと少し短くなっています。
伝送距離が短い分、少し速度の速い通信を実現しているということが特徴です。
920MHz帯は、こうした長距離IoT機器へのサービスが複数社から提供されている状態です。サービスの利用料金も低速度な反面、リーズナブルになっています。
Sigfox | ZETA | LoRaWAN | Wi-SUN | |
周波数帯 | 920MHz | 920MHz | 920MHz | 920MHz |
通信距離 | 50㎞程度 | ~10㎞程度 | 10~20㎞程度 | ~数㎞程度 |
通信速度 | 約100bps | 約50kbps | 約250kbps | 約300kbps |
LTE回線でのLPWAも
920MHz帯のLPWAは、これから普及していくデータ量の少ないIoT機器を効率的に接続するという目的で使用されていくと考えられます。
それに対して、画像などの簡易的な監視データを伝送したいというような場合には不向きなネットワークとなります。
既存の携帯電話などのLTE回線の速度を意図的に低下させて、LPWAとする方式が「LTE-M」になります。
これは携帯回線の基地局がたくさんあるため、カバーできる範囲が大きくなります。さらに通信速度も1Mbpsと簡単な画像や低解像度の動画などのやり取りも可能なため、IoTの適用機器は増えます。
しかし、LTE回線を使用するため、LPWAの価格としては少し高くなります。
LPWAの回線と同じような200kbps程度でLTE回線を使用したいという場合は、「NB-IoT」というサービスが提供されています。
こちらでは、920MHz帯でのサービスと同等の通信速度でIoT向けの通信サービスがLTE回線で提供されています。
その分LTE-Mと比較すると通信価格も安くなるメリットがあります。
それぞれの用途に応じて、LPWA回線を選択できるようになっています。
LPWAのサービスは920MHz帯と携帯回線で展開されている
LPWAの需要は高く、通信価格が安いというメリットを受けられるため、今後も需要は増え続けていくと考えられます。
その際に、920MHz帯と携帯回線、どちらが良いのかという判断に迫られると思いますがそれぞれの特徴を考えて用途に合った通信を行えるものを選択するとよいでしょう。
920MHz帯のLPWAは、サービス自体は提供されているのですが、IoT機器の構築に専門的な知識が必要な場合も多く、手軽に接続ができるのはLTE回線を使用した携帯回線と言えます。
その反面、携帯回線を使ったネットワーク構築はネットワークの自由度が制限されて、920MHz帯を使用する場合よりも通信価格が高くなります。
こうしたメリット、デメリットをよく検討して用途に合ったLPWAのネットワーク構築を行うようにしましょう。