【対応事例】複合NC旋盤 X軸のボールネジ交換作業 / ヤマザキマザック
2025.02.28 メンテナンス

多くの場合、修理・交換部品の手配は可能です。しかし、交換できるエンジニアがいなければ修理はできません。お客様の設備の停止時間を短くするために、西部商工では迅速な調査、修理対応を行っています。今回はメーカーエンジニアに代わり、旋盤のボールねじ交換作業を行った事例をご紹介します。
修理対応概要
・メーカー名 :ヤマザキ マザック
・機械の種類 :複合NC旋盤
・機械型番:MLTOLX6200Y(製造年 2004年9月)
・依頼内容:HD1 X軸のボールネジ交換作業
・現象:HD1 X軸のバックラッシュ増大により加工精度悪化
ご依頼の背景
油圧機器などの設計や製造を行うS社様(滋賀県)からのご依頼
複合NC旋盤のバックラッシュが大きくなり、ボールネジの交換が必要になっていました。しかし、古い機械であるためメーカーにも対応できるエンジニアが少なく、修理まで長く待たなくてはならないことから、当社にご相談いただきました。
西部商工に依頼した決め手
お客さまが該当の機械で加工した際、加工後の寸法に0.1ミリから0.3ミリほどのズレが発生しました。お客さまがメーカーに連絡したところ、ボールねじの交換を提案されたそうです。しかし、メーカーエンジニアによる交換作業は数ヶ月待ちとのことでした。
お客さまが使っていた工作機械は2004年製のやや古い機械だったため、メーカー内でも対応できるエンジニアの数が限られていたのが原因だそうです。
機械は停止している間は利益を生まないだけでなく、納期の遅れなど様々な問題を引き起こします。そのため、西部商工では、お客さまの所有する機械の停止時間ができるだけ短くなるよう、迅速な修理対応を実施しています。また今回のケースでは、当社がお客さまの営業所から比較的近い場所にあったため、出張費用なども抑えられることから、当社に修理依頼をいただきました。
修理対応
NC旋盤のボールねじは、旋盤を正しく動かすために非常に重要な部品です。そのため、入念な準備を行い、慎重に作業しました。
ボールねじは旋盤の奥のほうにある部品です。そのため、交換のためのバラシにも、組み付けにも時間がかかります。またNC旋盤は、ボールネジを外してしまうとそれまでの機械軸や座標位置にズレが発生します。そのため、ボールネジ交換後には機械軸を元の位置に戻さなければいけません。しかし、機械軸の位置を調整する作業は、機械に搭載されているCNCによって異なるため、より慎重な作業が必要となります。作業にあたっては、分解前の機械座標の確認方法や、組み付け時に正しい機械座標に戻す作業手順を、メンテナンスに入る前に必ず確認することが重要です。この部分を正確に理解していないと、ボールネジの交換作業は不可能です。
ボールネジの交換にあたっては、バックラッシュが増大した影響により加工精度が悪化していると予測して作業を行いました。そのため、ボールネジの交換後には、バックラッシュが正常に戻っていることを確認しました。
対象機は製造からそれなりの時間が経っている機械であることから、部品の緩みなども見受けられる状態であり、お客さまにその旨を報告しました。相談の結果、ボールネジ交換以外の調整は行わない方針になりましたが、交換後の組み付け作業で扱う部分に関しては、調整を行いながら組み付けました。
ボールネジの交換により、加工精度が回復したため、それ以上の調整やメンテナンスは行っていません。
西部商工では、メンテナンスや修理作業を行っていて気づいた点は、都度お客さまにお伝えしています。その上で、さらなるメンテナンスや修理を行うかは、お客さまのご判断にお任せしています。
お客様からの評価・当社からのご提案
今回は2004年に製造されたヤマザキマザック複合NC旋盤のX軸ボールネジ交換作業でした。メーカーや、メーカー内でのモデルチェンジのタイミングにもよりますが、機械によっては製造から10年程度で、対応できるエンジニアが減ってきてしまうケースも少なくありません。さらに海外製の工作機械や海外製のNCを使っている工作機械の場合、企業内部の人の入れ替わりが多いこともあり、10年前の機械の対応ができるエンジニアがいないケースも存在します。
今回のケースでも部品はメーカー内に在庫があったため、比較的早くお客さまの元に届いたものの、ボールネジの交換ができるエンジニアが限られており、長い時間待たなければならない状態でした。しかし当社は、ご依頼を請けてから2週間後に訪問し、修理を行えたため、お客さまからは機械の停止時間を短くできたと、喜んでいただけました。
ボールネジの交換は、工作機械にとって非常に重要な作業です。そのため、信頼できる業者でなければ依頼できません。今回のケースでは、お客さまから当社へのご依頼は初めてでした。しかし、このような重要度の高い作業を任せていただき、大変ありがたく感じております。 お客様から当社の修理対応については、まずは加工精度が正常に戻ったことを喜んでいただきました。今回の対応により、お客さまからはその後も様々なご相談や案件をいただいたり、展示会の際にもお立ち寄りいただくなど、お付き合いが続いております。当社のていねいな作業が、お客さまとの良好な関係につながったと考えています。
西部商工では、機械の種類やメーカーを問わず対応します
西部商工は機械メーカーではありません。そのため、設備の種類やメーカーを問わず、対応できるのが強みです。もちろん全ての機械や事例に対し、経験があるわけではありません。しかし、他のメーカーや類似の機械での修理、メンテナンス実績がある場合も多く、お客さまからのご相談に対し、類似の実績を提示させていただくケースも多くあります。
西部商工では、メンテナンス作業は9割が準備だと考えています。準備においては、機械の図面を確認したり、作業手順をシミュレートするなど、ていねいな確認作業を行っています。また今回のように重要な部品の交換事例も増えており、当社の作業エンジニアのスキルもさらに向上しています。
西部商工では、機械メーカーでは対応しきれないケースや、他の修理事業者では難しい事例でも、積極的に相談を受けています。より早いタイミングでの修理をご希望されている場合や、より近い修理事業者を探している場合など、ぜひ当社にご相談ください。