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ソリューションブログ

【修理事例】溝口機械製作所/ウォーム研削盤  リニアスケール清掃、ヘッド交換

2025.07.16  メンテナンス未分類

リニアスケールは、各軸の正確な座標位置を検出するために、光学的な反射原理を利用して信号を読み取る測定装置です。光源から照射された光がスケール上のパターンに反射し、その反射光をセンサが解析することで、移動量や絶対位置を高精度に取得します。

この技術は、今回依頼のあったウォーム研削盤をはじめ、CNC旋盤やマシニングセンタ、半導体製造装置など、幅広い工作機械に搭載されており、加工の精度向上と位置決めの信頼性確保に大きく貢献しています。今回はハイデンハイン社製のリニアスケールを清掃し、ヘッドの更新作業を行った事例を紹介します。

修理対応概要

・メーカー名 :溝口機械製作所(リニアスケール/ハイデンハイン社製)

・機械の種類 :ウォーム研削盤

・機械型番:MKG-3000PRW

・依頼内容:リニアスケールの清掃、ヘッド交換

・現象:U軸リニアスケール読込み不良

ご依頼の背景

ギアボックスや減速機などの製造を行うS社様(大阪府貝塚市)からのご依頼

溝口機械製作所製のウォーム研削盤において、U軸の座標位置が読み取れなくなる不具合が発生していました。信号を確認したところ座標位置が送信されておらず、機械には「リニアスケールを交換せよ」というアラームが表示されていました。

このリニアスケールはハイデンハイン社製のものでしたが、リニアスケールを新たに購入するのは高価で納期もかかります。今回は復旧を急いでいたため、お客様のご判断により既設のリニアスケールの清掃を実施することとなりました。なお、光学式リニアスケールは非常に繊細な計測機器であり、通常はメーカーによるメンテナンスが推奨されます。そのため、清掃はハイデンハイン社に、リニアスケールを機械本体から一度取り外し、再取付けする作業を弊社にご依頼いただきました。

西部商工に依頼した決め手

西部商工では、さまざまなメーカーの工作機械のメンテナンスや修理を行っています。 
ハイデンハイン社のリニアスケールの故障対応では、リニアスケールを機械から取り外し、東京のメーカー拠点に送付して修理を行うケースが多いです。しかしそれでは時間がかかってしまうのが難点です。

今回のケースでは、西部商工がリニアスケールを取り外し、ハイデンハイン社のエンジニアがお客様の工場でリニアスケールのメンテナンスを行うという分担体制を行うことになりました。この方法であれば、メーカー拠点への送付に係る時間のロスがなく、早期復旧が可能になるからです。また、弊社であれば、リニアスケールのメーカーであるハイデンハイン社と協力してメンテナンスを行えることからご依頼をいただきました。

修理対応

今回の様に、他社のエンジニアと仕事をする際には、お互いが何をするか、作業範囲を事前によくすり合わせするのが重要です。お互いの作業を理解していないと、重大事故につながる可能性があるためです。  

今回は、弊社がリニアスケールを取り外し、ハイデンハインの技術者がリニアスケールのレンズ部分を清掃し、また弊社がリニアスケールを取り付けるという作業です。今回は両社が同時に機械に対して作業することはなかったため、そこまで慎重になる必要はありませんでしたが、事前の打ち合わせは入念に行いました。  

リニアスケールに限った話ではありませんが、現在使用中の機械から部品を取り外し、再び取り付ける作業には注意が必要です。古い部品が変形していたり、部品を固定するネジがつぶれていたりするケースが多いからです。そういった影響により、いったん取り外したものを再び取り付けようとすると、戻らなくなってしまうことがあります。  そのようなことが発生しないよう、ていねいに作業を進める必要があります。また取り付けた後に正常に動作するか、しっかりと確認することも欠かせません。今回のケースでは、ケーブルの処理にも課題がありました。リニアスケールを取り付ける際に、新しいケーブルを取り付けましたが、これまで使われていた古いケーブルが取り出せない状況にあったため、古いケーブルはそのまま残すことにしました。ケーブルは軸の稼働部分の中に残ることになるため、軸をよく動かしてケーブルのひっかかりがないか、入念に確認しました。  

メンテナンスで機械の稼働部を扱った場合には、取り付け後の確認は非常に重要です。特に座標位置の精度管理は、リニアスケール修理において最も重要な要素の一つです。作業前と作業後で座標の位置がずれてしまっては意味がないため、原点設定には細心の注意を払いました。  
今回の修理では、当初は清掃で故障が治るかどうか分からない状態でしたが、ハイデンハインの技術者による清掃作業により問題が解決し、早期の復旧を実現することができました。

お客様からの評価・当社からのご提案

今回の修理では、ハイデンハインの技術者との連携により早期復旧を実現することができました。当初はリニアスケールの交換が必要と思われていましたが、清掃による修理で問題を解決できたため、お客さまには大変喜んでいただきました。高価な部品の交換や長い納期を避けることができ、生産への影響を最小限に抑えられたためです。  

リニアスケールは精密な測定機器でありながら、使用環境によってはレンズが汚れやすいという課題があります。特に加工現場では切削油や金属粉などが飛散するため、頻繁に故障する場合もあります。エアパージを利用し、汚れを吹き飛ばしている現場もありますが、完全に汚れを防ぐのは困難です。  
理想的には定期的な清掃を行うことで故障を予防できるのですが、清掃のためには機械を止めてリニアスケールを取り外す必要があります。生産を止めることになるため、なかなか実施が難しいのが実情です。  

このような課題に対して、西部商工では汚れにくいタイプのリニアスケールへの置き換え作業も承っています。使用環境に応じて最適な機種をご提案することで、故障頻度を減らし、メンテナンスの負担を軽減することが可能です。

西部商工では、機械の種類やメーカーを問わず対応します

今回の経験を通じて、ハイデンハインとの継続的な協力関係を構築することができました。  
西部商工では機械メーカーを問わずリニアスケールの交換や修理に対応しています。メーカーではない分、常に学ぶ姿勢で技術向上に努めており、他社の技術者からも知識を吸収しています。リニアスケールでお困りの際は、ぜひ西部商工にご相談ください。

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