【工作機械の異音】原因の特定方法と現場での考え方
2026.03.06 修理・メンテナンス
記事のポイント
- 異音は「壊れる前のサイン」
- 数値が正常でも異音は発生する
- いきなり部品交換しない
- 発生条件の整理が最重要
- 放置すると二次被害につながる
異音はなぜ放置してはいけないのか
現場ではよくあります。
「まだ動いているから大丈夫」
「とりあえず今のロットが終わるまで使う」
しかし、異音は機械からの警告です。初期段階では音だけでも、進行すると
- 加工精度低下
- 面粗さ悪化
- ビビリ発生
- 主軸焼き付き
- 軸受破損
- 突発停止
へと発展することがあります。異音は結果ではなく、原因の始まりです。
異音特定の基本手順
現場で大切なのは「どの部品を交換するか」ではなく「どう切り分けるか」です。
| ① まず整理するのは発生条件です。 ・起動直後だけか ・暖機後に出るか ・主軸回転時か ・送り軸動作時か ・切削中のみか ・早送り時だけか ・特定位置だけか この情報だけで、疑う箇所は大きく絞れます。 | ② 音の種類を言語化する ・キーキー音 → 潤滑不足・ベルト鳴き ・ガラガラ音 → ベアリング摩耗 ・カタカタ音 → ガタ・ゆるみ ・ゴー音 → 回転体摩耗 ・キーン音 → 主軸・共振 ・ドン・コツン音 → 干渉・位置ずれ 「変な音」ではなく、できるだけ具体的に。 | ③ 発生箇所を推測する ・主軸周辺 ・ボールねじ ・リニアガイド ・サーボモータ ・油圧ユニット ・クーラントポンプ ・板金カバー 音は反響するため、 聞こえる場所=原因とは限りません。 | ④ 条件を変えて比較する ・回転数を変える ・送り速度を変える ・無負荷運転で確認 ・単軸運転で確認 ・潤滑後の変化確認 「この条件だけ出る」という情報は極めて有効です。 |
よくある原因と現場での見方
1. 潤滑不足 : 最も多い原因です。
| 症状: ・キーキー音 ・動き始めだけ出る ・動作が重い | 確認: ・油量 ・給油ライン詰まり ・ポンプ作動 |
2. ベアリング摩耗 :主軸・モータ・ファンなど回転部。
| 症状: ・ガラガラ音 ・回転数比例で音増大 ・発熱 | 放置すると焼き付きます。 |
3. ボールねじ・ガイド異常:送り軸異音で多い。
| 症状: ・特定位置だけ出る ・微振動 ・バックラッシュ増大 | ここで重要なのは、 バックラッシュが正常値でも 異音は出るという点です。 数値だけでは判断できません。 |
4.ベルト劣化・張力不良
| 症状: ・キュルキュル音 ・起動時強い ・負荷で増大 | 張りすぎるとサーボ負荷 が増えます。 |
5.ゆるみ・共振
| ・カバー ・センサーブラケット ・板金 | 増し締めで止まるケース もあります。 |
6.切削条件・工具要因:機械ではなく条件が原因
| ・ビビリ音 ・面粗さ悪化 ・工具摩耗 | 加工条件の見直しで改善 することもあります。 |
7.油圧・空圧・ポンプ系
| 症状: ・ウーン音 ・脈動 ・起動時異音 | フィルタ詰まりや エア混入が原因 |
異音対応の基本フロー
①発生条件整理 → ②外観・潤滑・ゆるみ確認 → ③条件変更で切り分け → ④数値だけで判断しない → ⑤必要に応じ専門診断
こんな場合は早期点検を推奨
- 音が大きくなっている
- 振動・熱を伴う
- 精度に影響
- アラーム発生
- 毎日出る
放置すると修理範囲が拡大します。西部商工では、いきなり部品交換や修理作業から入ることはありません。まずは、原因調査から対応を開始します。
異音の背景には、単一原因ではなく、潤滑・ベアリング・ベルト・調整値・加工条件など複数要因が絡んでいるケースも少なくありません。
「修理が必要かどうか分からない」
「まず原因だけ知りたい」
「交換すべきか判断できない」
そのような場合こそ、まずは原因調査から。原因の切り分けにお困りの際は、ぜひご連絡ください。