金属のバリを取る、という工程にもこだわりがあります
金属加工業に携わる方なら「バリ取り」という言葉を知らない人はいないのではないでしょうか。バリとは、金属を加工した際に発生する、部品には必要ない余計な突起のことです。それを取り除く作業が「バリ取り」です。そんな「バリ取り」の工程を35年にわたり研究し、バリ取り機の製造を行う企業がインドにあります。今回はGrind Master社による「DEBURRING TECHNOLOGIES」からバリ取りに関する技術の解説記事を抜粋してお送りいたします。
バリ取りに特化した専門的な記事は国内にも類を見ないため、非常に貴重ではないかと感じます。
バリにも種類がある
「DEBURRING TECHNOLOGIES Part 1」では、金属加工を行う際に発生する様々な種類のバリを写真付きで解説しています。
見た目にはきれいに加工されているように見えますが、目に見えない細かいレベルのバリをマイクロバリ、表面に少し引っ掛かりがあるようなバリをフェザーバリといって大別しています。
それ以上のバリはかなりしっかりしたバリであるため、見た目にもバリ取りが必要だというのが一目でわかるようなバリです。
バリをそのままにしておくと、バリが金属加工中に砕け散って、他の部品や工具に当たり、製品の破損や工具の破損につながるため、バリは取らければなりません。金属加工は工程が年々高度化し、精度とスピードが求めらています。金属加工の高度化により、バリはより細かくきれいに取り除く必要性が出てきているのです。また、精度の低下や作業者の怪我など様々なトラブルに繋がる可能性もあるので、バリ取りの工程は金属加工には必要不可欠と言えるでしょう。
バリ取りのプロセスとツール
「DEBURRING TECHNOLOGIES Part 2」では、Grind Master社が培ったバリ取りの技術とプロセスについて解説しています。
バリ取りには、「このバリにはこの方法が最適」といった明確な正解がありません。そのため、最適なバリ取りの方法を選択するためには、バリ取りに関する経験則が必要となります。
Part1で解説したバリのクラスによって、バリ取りの方法を検討します。
バリ取りを行う際には加工後のワークを傷つけることなくバリのみを取り除く技術が必要となります。
研磨用の金属ブラシを回転させ、バリを自動で取り除く装置をGrind Master社では製造しており、バリ取り専用の自動機械として世界中に販売しています。
これらの機器は、バリ取りに専門的に取り組んでいる会社でなければ製造することができない機械と言えます。
また、目に見えないような細かいバリには、研磨剤をしみこませたナイロン毛ブラシをつかったバリ取りを行うこともあります。
これらはバリのクラスに応じて使い分けられるもので、ワークを摩耗しすぎないバリ取りは、ブラシヘッドを取り換えることで実現されます。
金属の加工方法でも生成するバリが異なる
「DEBURRING TECHNOLOGIES Part 3」では、金属の加工方法によってもできるバリが異なり、それに対応するバリ取りの方法があると述べています。
例えば、クラッチプレートなどのバリを取る場合、鋭いバリを研磨ベルトなどで取り除いた後、ブラシによるバリ取りを行うことでエッジ部分が滑らかになります。
ブレーキパッドなどのバリを取る場合は、エッジに丸みを出すために特別な形状のブラシを使います。このようにバリ取り一つをとっても、形状やどのような用途で使われる金属部品なのかによっても、バリ取りの精度やバリ取りの際にワークの傷を少なくするなどの工夫が必要とされます。
金属のバリを取るということにおいてはGrid Master社は他にはないようなオリジナリティを持った技術を確立していると言えるでしょう。
他の企業が目を付けないような部分の技術を持つ企業は強い
GrindMaster社はバリ取り以外にも様々な金属加工の技術を自動化できる機械を製造販売する企業です。
日本では機械加工は熟練作業者頼る部分がまだまだ多いですが、こうした金属加工を研究し、必要な加工精度などを分析し、それに対応する方法を検討することで自動化する機械を開発することが可能です。
それは言葉で説明すれば簡単ですが、実現するためには途方もない試行錯誤と検討の時間を要するものです。
Grind Master社は早くからここに着目し、加工精度の標準化を実現する機械を開発したことで、インド国内だけでなく、アメリカや中国などへも販売網を拡大しています。
他の企業が目を付けないところにいち早く気づき、目標を実現するために努力している企業は、気づいたときには、他社より先を進んでいます。