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テクノロジーニュース

最近注目されているスマートファクトリーって何?

2019.07.22  基礎

Smart Factory (スマートファクトリー)という言葉を耳にしたことがあります?
展示会が開かれる際の大きなテーマとなっていたり、スマートファクトリーで検索をすると様々なサイトにヒットすることから、その注目度が分かります。
スマートファクトリーは、工場経営面からも極めてメリットがある大きな工場改革と言っても過言ではありません。


経済産業省も製造業のグローバル競争力強化の一環としてスマートファクトリー化を提唱しています。


では、具体的にスマートファクトリーというのはどのようなものなのでしょうか?

スマートファクトリーの前段にあるIoT

スマートファクトリーの話に入る前に、工場設備をネットに接続するIoTについて説明します。スマートファクトリーは、このIoTなしには成立しません。
IoT(Internet of Things)はモノがインターネットと接続されるということで、携帯4G回線が普及し始めた頃から、その有効性について多くのメディアなどで盛んに唱えられてきました。


工場にある今までインターネットに接続されていない工作機械が、携帯回線などを通じでネットに接続されると、どのようなメリットがあるでしょうか?
工作機械の運転データを1秒周期といった人間の手では絶対に拾うことが不可能であったデータをプログラムによって計測することができるようになります。さらにこれを、ネットを通じてサーバなどに蓄積すると、どこにいても工場の機器の運転状態を確認することが可能になります。


例えば、工場長など機械に詳しい人が出張中に、工場機械のトラブルが発生した、ということになれば、発生した時の運転データをネットを通じて確認し、オペレータに適切な対処方法を遠隔でも指示することができるようになります。


今までは、機械の復旧ができなければ、工場長が出張から帰るまで、機械は止めたままにしなければならない可能性もあり、この期間は生産ロスとなってしまっていました。

スマートファクトリーはIoTの発展形

IoTの有効性は理解できていても、機械の計測データも帳票できちんと控えている、定期的なメンテナンスも行っているから、工場機器はきちんと管理できていると考える方も多いと思います。
確かにIoTにより計測データをサーバに蓄積するものは、上記の定期保全とあまり変わりがありません。


デメリットとして、IoTを実現しようとすると、今までかからなかった機械への回線使用料やデータ蓄積用のサーバ使用料などのコストがかかってしまいます。
近年では、低速回線でコストを安くした携帯回線LPWA (Low Power, Wide Area)などもIoT向けにサービスを開始していますが、多くのデータ計測を短い周期でサーバへ送信するとなると、やはり一定に速度が必要となってきます。故障時の詳細分析を行おうとすると、0.1秒間隔の計測データが必要となったりすることもあり、IoTにかかる費用は増大する方向へ向かいます。


このようにIoTだけでは、今までも人の手で行ってきたことを、短い周期でサーバに蓄積し、過去のデータを分析しやすくなっただけにすぎません。このことが、IoTが今一つ工場設備などに普及していかない大きな原因です。
しかし、計測データをサーバに自動で蓄積することで、第二段階へ進むことができるようになります。


それがスマートファクトリー化です。

データ解析により、より効率的な改善、自動化を行う

スマートファクトリーは、IoTの環境が整った後に行われる「工場全体の効率化」に主眼が置かれています。


これはドイツで初めて提唱された製造業改革「インダストリー4.0」に基づいて清威人氏の著書「スマート・ファクトリー ― 戦略的「工場マネジメント」の処方箋」で初めてスマートファクトリーという言葉が使われました。
それまでも、「工場の見える化」と言われて様々な機械のデータを収集して今まで見えていなかった課題をデータから分析するという工場の運営手法を唱える動きはありましたが、それらはすべて最終的には人が判断するというものでした。


スマートファクトリーとしての機能の新しい部分は、AIなどを活用した判断作業の自動化も含まれています。
多くの計測データを取得したことで、過去の実績からこの数値が基準値を超える頻度が多くなると、この部品の故障が発生するという警報をAIが判断して、部品交換の推奨を知らせるというケースも可能となります。
こうした部品交換が必要な時期を予測する作業は長年の経験なども必要となり、人が変わってしまうと次の人に一から教えなければならないということもありました。しかし、AIによるデータ蓄積は人が変わっても変化することはありません。スマートファクトリー化は効率化により、これからの人材不足へも対応できることになります。


こうしたIoTを活用し、今までの工場の運営概念を大きく変えるものがスマートファクトリーです。

より効率的な生産ラインの構築や、電力削減へも貢献

計測データが多くの点で取得することができるようになったことで、様々な検討を行うことが可能となります。


例えば、生産における前工程が終わるのを待っている状態の多い機器があった場合、その時の待機電力を計測することにより、必要な時にだけ起動するようなプログラムを遠隔でセットしておくということも可能となります。
こういった細かい点での電力削減を行い、エネルギー利用の効率化も実現することが可能となります。


また、生産ラインの再構築を行う際には、どのような生産ルートが最も効率的なのかを多くのデータからAIなどにある程度判断を任せて、最終的に上がってきた何パターンかの生産ラインからより効率的に動ける生産ラインの決定などということもできるようになります。


生産ラインの効率的な構築というのも長年の経験が必要となる難しい作業でした。しかし、多くのデータを取得し、データを蓄積すことで、それと同様、もしくはそれに近い判断を行うことが可能となります。
スマートファクトリーは、電力の削減や効率的な生産ラインの構築を行い、今ある工場を効率化し、高収益体制へと変えることが大きな目的です。

スマートファクトリーの普及は、まだまだこれから

将来的には、大きな可能性も秘めており、AIなどの作業自動化による人手不足にも対応できるスマートファクトリーは、現段階では未だIoTが普及し始めた段階であると言えます。


AIの機能もブラックボックスのような部分もあり、最終的な判断には、やはり責任者の知見が必要になります。


しかし、そこに至るまでの判断のプロセスを自動化することで、責任者のデータを読み解いたりするような知的作業の省力化を行うことができます。
スマートファクトリーにおいて、AIは重要な要素となりますが、工場向けには普及が始まった段階であると言えます。


スマートファクトリーと呼べる状態になるためにはまだまだ時間を要するものと考えれます。それ以前に工場設備のIoTですらまだまだ普及段階であると言えます。


スマートファクトリー関連製品が普及段階であるため、工場設備のIoTと合わせて多くの展示会などでも大きなテーマとして取り上げられています。
工作機械向けのスマートファクトリー関連商品の動向にも注目です。