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未来の切削工具とその課題: 貴社は大丈夫そうですか?

2019.05.20  切削工具基礎工作機械応用

理想的な切削工具:生産コストを削減し、工具寿命を延ばし、最高レベルの生産性を定期的に維持すること。これを現実させるには、最初から最後までエンドユーザーと工具メーカーが協力して開発する必要があります。工具設計や切削条件から、工具材質やコーティングまで、すべてが含まれます。

アメリカのトヨタ自動車とのコラボ実績があるStar SU社のJohn O’Neil氏(ジョンオニール)と、Samputensilli社のエンジニアリング・マネージャのDr.-Ing. Deniz Sari氏(工学博士デニズサリー)に工具材質、機械ツール、コーティング、工作機械開発に関する動向について語ってくれました。   

Q:最新の切削工具材質の開発はどの様なものですか?

Sari:最近の取り組みのほとんどは、歯車製造の最適化に集中しています。この「最適化」には、エンドユーザーのニーズに合わせて、切削工具の設計、材料、コーティング、機械ツール、そして切削条件が含まれています。材質でいえば、より高い切削速度で使用するための高耐熱性がある工具材質が流行ではないかと思います。

O’Neil:既存の材料技術では、耐摩耗性の向上、熱安定性の向上などの特性が大きく進化しました。生産に最適な工具ソリューションを見つけるには、工具メーカーとエンドユーザーの関係がより重要になっています。この目標を達成するために、コンピュータシミュレーションおよび複雑な分析方法(例えば、3Dモデルおよび切屑の形成プログラム)がより頻繁に使用されています。     

Q: 材質によって歯車にはどのような利点がありますか?また、材質の性能が材質の製造方法に大きく依存するのはなぜですか?

O’Neil:最近、エンドユーザーから自分の製造に合わせて工具をカスタマイズして欲しいという要求が多くなっています。それを満たしながら高性能の切削工具を開発するには経験と知識が必要です。私の経験事例ですが, 自動変速機部品の製造コストを改善するために、AlCrnでコーティングされたスチールホブカッターを使うドライ加工という方法があります。サイクルタイムを短縮しないので、超硬の優れた素材で工具寿命の向上ができます。一般的には効率がいい超硬ホブは、最低、一回の使用当たりの加工数が2倍と他ホブより耐用数が1.5倍にならなければなりません。AlCrNコーティングを使用した超硬ホブを用いて試験の結果、使用当たりの加工数が7.5倍になり、ホブ耐用数が1.5倍と証明できました。さらに、12回再研磨されても、工具のコーティング摩耗は~0.123 mmに、刃先摩耗は~0.051 mmにだけになりました。     

12回再研磨されても、工具のコーティング摩耗は~0.123 mmに、刃先摩耗は~0.051 mmにだけになりました。

Q: 工具コーティングで何か興味深いことはありますか?

O’Neil:AlCrN系のコーティングの新しい技術により、歯車製造の生産性と工具寿命が向上できました。耐摩耗性,酸化温度、熱伝導率はすべて向上しました。既存のコーティング技術では、耐摩耗性の、熱安定性、導電性などの特性も向上しました。      

Q:これらのコーティングは将来どのように進化するのでしょうか?

O’Neil:5~10年後にも,現在の技術の改善が続けられることを期待しています。現在は、AlCrNコーティングを導入することにより、工具寿命を30%長く改善することが出来ました。そして、コーティングの進歩により、場合によりますが、性能に影響を与えることなく、より安価なグレードの工具材質への変更も可能になりました。             

Q:現在の「カスタマイズ特殊型工具」のマーケットはどんな感じですか?

O’Neil:歯車切削工程にはさまざまな影響があるため、標準の切削工具だけでは足りません。工具メーカーに必要なのはカスタマイズ(特殊型)工具の提供を標準にすることです。例えば、刃先の強度を高めるために、ホブ直径の修正を加えることでホブカッターをカスタマイズします。   

Q:現在の切削工具の最適化においてIIoT(製造業における、モノのインターネット)はどのような役割を果たしていますか?

O’Neil:センサを使用し、データ分析をすることで切削工程、切削条件の理解がより深くできます。工具メーカーがこれらのデータによって最適な工具設計、最適な工具材質、最適な切削条件を選択し、エンドユーザーに最適な工具を提供することができます。さらに、プロセスモニタリングの技術で、工具摩耗を回避でき、ピッタリの工具交換のタイミングも簡単に分かります。       

   

Q:ソフトウェアはどのような役割を果たしていますか?

Sari:新しい材質やコーティングの技術はエンドユーザーにメリットをもたらしますが、適用自体には課題が山ほどあります。安定したプロセスと工具のポテンシャルを使い切るために、それ用のソフトウェアとセンサが必要だと思います。