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テクノロジーニュース

海外からのメッセージ:予兆診断の実現が難しいのはAIだけの問題ではありません

2020.08.28  インダストリー4.0ものづくり企業IoT基礎

アメリカのIoT向けプラットフォーム等のソフトウェアメーカである「Tulip」が自社のオウンドメディアで訴えている内容が非常に興味深い内容となっています。
原題「Predictive Maintenance Isn’t Just an AI Problem」
邦題「 予兆診断 の実現が難しいのはAIだけの問題ではありません」
予兆診断 という言葉はなかなか聞き慣れないものであるかと思いますが、予防保全よりも進化した保全形態であると定義しています。故障を予測して、より正確で低コストな生産ライン等の整備として提案しています。
https://tulip.co/blog/machine-monitoring/predictive-maintenance-isnt-just-an-ai-problem/

予兆診断 とは? 予防保全とは似て非なるもの(要約文)

予兆診断 とは、生産ライン等の稼働状況に問題が発生する前に、故障状況を理解し、保全作業を行うことです。IoTにより収集された工場のデータを高度な機械学習とAI技術で分析し、故障が発生する前兆を予測することでダウンタイムを減らし、余分な整備を行わずに、低コストで設備のパフォーマンスを最大限に発揮することのできる整備です。
従来の予防保全は、生産ラインを構成する各パーツの交換周期などから稼働時間や前回交換日時などから交換スケジュールを組みます。これは各パーツの種類によって一般的な交換周期によるもので、交換する時期に達していてもパーツが健全に動作しているということもあります。従来の予防保全ではパーツが健全であっても交換を行うため、無駄が生じていました。
これに対して、予兆診断IoTによる機器のデータ収集を行い、機器特有の部品ライクサイクルを示して、本当に交換が必要な時期に部品交換を行うというものです。

予兆診断には、膨大な計測データより、良質な少数のデータが必要??(要約文)

こうした予兆診断は、より高度な予防保全と言い換えることができます。そのため、工場の全てのIoTデータを膨大に集める必要があると考えている人も多いかと思います。ある産業工学の教授は「何千もの変数がある場合、通常、問題と根本原因との間の意味のある統計的関連を見つけるために、数十万または数百万の部品のデータが必要です」と言っています。
しかし、こんなデータの収集はほぼ不可能と言っていいでしょう。データが多くてもほとんどが部品の交換周期に無関係である場合もあります。
重要なのは、特定の操作による使用時の継続的なデータ収集が産業工学の教授の言葉の意味するところです。
機器が毎日使用される操作とその頻度や、運転時の振動、温度などのデータが重要なデータとなります。機器の部品寿命に関するデータは全体のIoTデータのほんの一部です。

データ同士の相互関係を見つけるためにクラウドやAIが必要になる(要約文)

計測されたデータを、今までは現在あるデータから、生産ラインの担当者が故障の発生状況をシミュレーションして検証を行います。
場合によっては実際の機器に故障を発生させてデータを取得しなければなりませんでした。しかしこうした「検証のための故障発生」など稼働している機器では不可能です。
機器の必要なデータを取得してクラウドに保管していれば、故障発生時の詳細データも取得することが可能となり、状況の検証が必要です。
ここで、故障時のデータと通常時のデータを結び付けて、機器個別の故障が発生する兆候などを予測するためにAIを活用します。
AIは、様々な分野で活用が期待されている先端技術ですが、必要最低限かつ正確なデータを基に判断されます。正しいデータがなければ、AIも正確な判断を行うことができません。

まずは予兆診断の準備を進めてみよう(要約文)

AIによるプログラムが完全ではなくても、まずは 予兆診断の準備をすすめることでその有用性を実感することができます。

1. 現場全体のIoTによるオンライン接続を完了する:データを取得するための最低条件でもある、工場機器のIoTによるオンライン化がまず最優先の事項です。AIにデータを送るための準備段階です。

2. IoTのデータの保存先にクラウドを検討する:自社でサーバを設置してデータを保管するよりもクラウドサーバを契約したほうが手軽で安価にデータを保管することができます。

3. AIによるアルゴリズムに何を期待するのか理解する:AIに判断させれば何でも解決するか?というとそうではありません。
集めたデータからどのような項目をAIに判断させるのかを決めましょう。一般的に起こりやすい障害の特定など、具体的なAIに洗い出してほしい項目を選別するといいでしょう。

4. 機器の使用状況を追跡する: 人が機器を操作する際に操作ミスを起こすかどうかなどの機器の使用状況の追跡を行います。これによって、機器の部品劣化による故障なのか?それとも人為的なミスによるものなのかということの違いもAIに教え込ませることができるようになります。

AIに全ての判断を委ねるべきではないということ

AIというと万能の利器というイメージを持っている人も多いと思います。
しかし、AIはプログラムの塊でしかありません。最近では機械学習などさも生きているかのようなプログラム生成方法を取るため、AIは進化し続けるのだから何もしなくても最適なものになっている、と考える人も多いのは分かります。
しかし、AIも正確なデータがなければおかしな判断もします。こういう判断はおかしいということも理解しているわけではありません。
AIに判断させる項目を絞ることで、一部の領域で確実な判断をさせ、その領域を広げていくというやり方を推奨しています。
いきなり、工場全体をAIに故障の未然防止させるような判断を要求しても返ってくる答えは極めて的外れなものになるということを言っています。

「ローマは一日にして成らず」それはAIによるスマートファクトリー化も同じ

このコラムの内容は、スマートファクトリー化とも言える内容をより具体的な手法や進め方の指南をしていると言えます。
そのやり方は地道なもので、少しづつ整備の効率化を積み重ねていくということを推奨しています。AIのプログラムの機械学習の方法も、人為的な操作ミスを除くなど具体的な手法にも言及しており、AIという漠然とした内容が具現化しています。
IoTやスマートファクトリーのイメージはできていても、「具体的には何をしたいいの?」という内容に答えているコラムと言えます。
それは、正に地道にデータ取得、AIの機械学習を行い、適用範囲を広げていく「ローマは一日にして成らず」を地で行く内容です。

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