5Gの時代に敢えて低速度通信?!実はIoTでメリットの多いLPWAの実態
2021.03.29 インダストリー4.0、基礎
携帯回線では、高速通信が標準となる5G回線の整備が進められています。無線通信では次世代規格のWiFiが考案されるなど、高速通信の規格が次々と登場しています。
しかし、IoTの分野ではその全くの逆を行く低速度通信の規格LPWAが注目されていることをご存知でしょうか?
低速度通信とIoTの関係性に注目しながらLPWAのメリットについて考えていきます。
LPWA(Low Power Wide Area)通信って何?
LPWAはLow Power Wide Areaが正式名称の通信規格となります。
WiFiや4G/LTEなどに代表される高速無線通信技術に対して、LPWAは100bps程度とインターネットがなかった頃のパソコン通信よりも遅い超低速度の無線通信技術となります。
利用される周波数帯も主に920MHz帯を使用し、携帯電話では最もつながりやすく、遠くまで電波が届くと言われているプラチナバンド(800MHz帯)付近となり、少ない電力で遠くまで電波が届くということが大きな特徴です。
LPWAは超低速度通信を行う代わりに、少ない電力でも遠くまで電波が届き、広い範囲をカバーすることができる通信技術と言えます。
低速度通信のため、本当に電力がかからない
超低速度通信を行い、プラチナバンド付近の周波数を使うため、それだけでも電力がかからないというものがLPWAの特徴ですが、その省電力性は他の通信方式とは桁違いです。
LPWAサービスを提供しているsigfoxでは、LPWA通信を行う端末に電池を搭載しておけば、10年間電池交換無しでの駆動が可能というセールスポイントを打ち出しています。
こうした省電力性はIoT機器のメンテナンスフリー化にもつながります。IoT機器に電気配線を引くことができない場合、電池での電源供給となってしまうのですが、電池交換の頻度が多くなってしまうとそれだけIoT機器にかける手間も増えてしまいます。
高所や人が行きにくい場所に設置されているなど、設置後に簡単に機器の近くに行くことができないような場合、電池交換が10年間不要というのは非常に大きなメリットです。
IoT機器は低速度通信でも構わない??
IoT機器でも、高速通信に接続しなければきちんとデータが送信されないと考えている方も多いのではないでしょうか?
意外と感じる方もいるかもしれませんが、IoT機器が送信するデータ量はそこまで多くありません。
例えば、温度センサを考えた場合、温度の数値を1分毎など定期的にサーバに送るだけの通信を行っています。温度は5℃であれば5、25℃であれば25という数値を送っているだけですので、テキストデータとしても少量というのが分かります。
このデータというより数値を定期的にサーバに送るだけの通信ですので、WiFiや5Gと言った高度な高速通信を使う必要など全く必要がありません。
LPWAの通信速度は100bpsなんてどんな通信に使うのか?と思った方もいらっしゃるかとも思いますが、まさにIoTのために使う通信ということができます。
お金をかけたくないIoT通信に低速度でコストダウン
IoTを行うためには接続する機器が多くなり、接続ごとにかかる通信コストも心配になります。
4G回線やWiFiでも多くの回線を準備するとその分、通信の回線基本料がかかってきます。基本料だけでも5~6000円程度が見込まれます。これが一装置毎にかかってしまっては莫大なコストとなってしまいます。
LPWAサービスを提供するSigfoxの価格プランでは、年額100円からの超低コストをプランも準備されています。月額ではなく、年額ということが桁違いの安さを実感できます。
LPWAを活用すれば、通信コストをほとんど気にすることなく、IoTを導入することができると言えるでしょう。
IoTに最適なLPWA 国内でサービスを展開しているブランドは?
こんなIoTに最適なLPWAを展開している企業は現在日本ではsigfoxの規格を提供している京セラコミュニケーションシステムとLoRaWANの規格を提供しているSORACOMなどがあります。
Sigfoxは通信速度が低価格な分、極端に低いため、水道やガスメータの月一回の検針業務の効率化などに主に活用されています。月一回に各家庭に設置されたメータから、現在の積算値を送信するだけのシンプルな構成のIoTですが、各家庭に検針員が訪問しなくてももよくなります。電池駆動が可能で10年間交換が不要ということもメンテナンスフリーで大きなメリットになります。
Sigfoxは超低価格で低予算を売りにしているのに対して、LoRaWANは最大37.5kbpsとsigfoxよりも少し通信速度が高い状態での利用となります。その分sigfoxよりも通信コストが上がりますが、携帯通信よりも低速度で、少し高度なIoTを構築したいという場合に利用することが多くなりそうです。
伝送距離についても最大数十キロを仕様に記載しており、省電力で長距離伝送というのがLPWAの大きな特徴と言えます。
日本国内においてもサービスを展開している企業がありますので、主にIoT向けに低コストでの運用に需要があるからということに他なりません。
まとめ:IoTにより過去の技術が見直されている
無線通信は年々その通信速度が上昇していることがニュースになります。しかし、その裏では通信コストの増大も同時に行われているということも言えます。携帯回線も3Gから4G/LTEとなった際に、携帯電話の基本料金が大幅に上昇したことに驚いた方も多いのではないかと思います。
これは逆に言うと、低速度通信を行えば通信費を抑えることができるということになります。高速通信の速度を上げることは技術開発が必要ですが、低速度通信は既存の技術の組み合わせで実現可能です。
無線の高速通信全盛の時代に、時代と逆行するようなLPWAといった低速度通信がIoTの普及に大きく貢献しているということは、興味深い現象です。
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