未来社会の実現を目指した具体案!日本政府が提唱するソサイエティ5.0
2021.03.30 インダストリー4.0、ものづくり企業IoT、基礎
ソサイエティ5.0というキーワードを聞いたことがあるでしょうか?
IoTやインダストリー4.0など比べるとまだあまり聞き慣れないという方も多いのではないかと思います。これは政府が5年ごとに発表している第5期科学技術計画の中で初めて用いられたものです。中国の中国製造2025やドイツのインダストリー4.0は製造業に特化しているのに対して、ソサイエティ5.0は、社会全体に向けられた未来の姿図を書くようなものとなっています。
今回はそんなソサイエティ5.0についてその内容と課題について考えてきたいと思います。
政府の第5期科学技術計画で提唱された「ソサイエティ5.0」
平成28年に閣議決定された第5期科学技術計画は、5年ごとに政府が学会や産業界などの学識者を集めて検討している科学技術に関する日本の基本方針です。
その中では、日本の将来は現状のままでいくと様々な問題に直面し、大きなイノベーションを起こさなければ生き残っていくことができないという視点で全体的な方針が記載されています。
日本政府や産業界、学界も含めて平成28年の段階でも日本社会の閉塞感を打破するために革新的なものを求めていることが分かる内容となっています。
その第5期科学技術計画の中で提唱された超スマート社会の実現という項で提唱されたキーワードが「ソサイエティ5.0」です。
この5.0という名前の由来として、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会という人類が経過してきた4つの社会のさらに発展したものということで5.0という名称がつけられました。
つまり、IoTやAIなどの既存の技術を組み合わせた情報社会のさらに発展した社会を目指すということが「ソサイエティ5.0」になります。
サイバー空間と現実社会が高度に融合した状況を目指す「ソサイエティ5.0」
政府の提唱するソサイエティ5.0とは具体的にはどのような社会を目指すものとなっているのでしょうか?
現在、部分的にはAIやIoT、ビッグデータの活用による市場調査や自動車の自動運転など今までになかった便利な社会を実現する技術が導入されています。
しかし、こうした技術は費用面や安全性などの関係から一部にとどまっています。こうした技術を様々な業界に積極的に取り入れて、今まで人的リソースが必要だった部分を完全自動化していくということが、ソサイエティ5.0実現に向けた具体的な方策です。
AIによる判定も、その内容を自動運転や診断などにそのまま適用するのではなく、現在では必ず人による確認作業が必要となっています。例えば、自動運転では、人が必ず運転席に乗って、何か不測の事態が発生した場合には人による緊急操作が必要となります。
AIによる医療分野の診断でも、レントゲン写真による病気の候補を医師が最終判断をするということで、医療関係者の労力を軽減するという内容となっています。
「ソサイエティ5.0」が目指す世界では、こうしたIoTによるビッグデータの分析結果や、AIによる判定といったサイバー空間で出た結果が現実社会ではさらに別のシステムなどと連携し、より発展的なシステムとなるような未来予想図を描いています。
ソサイエティ5.0で物流が大きく変わる?!
ソサイエティ5.0による大きな効果として期待されている具体的な業界としては物流業界があります。
現在、運送のトラックや各自宅までの配達などには多くの人手が必要となっています。しかし、ある程度ルーティンが決まっている運送や配達といった作業に、自動車の自動運転や、小さな荷物はドローンによる自動操縦技術を用いた宅配などを行うことが期待されています。
これには既存の自動車の自動運転やドローンの自動操縦技術、仕分け作業に関してもファクトリーオートメーションといった技術をさらに発展させて完全自動化を図る必要があります。
ソサイエティ5.0の実現でもある、各技術のさらなる高度な連携も必須となります。
こうした技術同士の連携と発展により、現在の人手不足や低賃金、長時間労働が大きな問題となっている物流業界にも人材によるリソースを必要最小限とし、労働環境の改善を目指す動きも同時に行うことになります。
ソサイエティ5.0で農業も変わる?!
農業に関しても農業従事者の高齢化や人手不足が深刻な状況となってきている背景から、ソサイエティ5.0についての期待が寄せられています。
耕うん機などの農業機械による機械化は現在も進んでいますが、こうした農業機械の自動運転などによる農作業の完全自動化が大きな変化の一つとなります。
また、農業生産者とサプライチェーンのミスマッチによる農産物の価格暴落などを防止するために、より効率的に販売できるよう農業生産者と販売ルーツや需要予測などにAIによる判定とその結果を農業生産に応用できるようなシステムの導入なども挙げられます。
今まで一つの耕作地ではその生産者が得意とする農産物を生産しており、その農産物に需要があるかどうかを判断することはあまり積極的に行われていませんでした。そのため、農作物を作っても高く売れないといったことで農業生産者の所得低下が大きな問題となってきました。
ソサイエティ5.0ではこうした状況へも既存のロボットや自動運転、AI、ビッグデータによる市場分析といった技術をより高度に連携させることで農業を変えていこうという目標を立てています。
他にも様々な業界への提言をしているが……
ソサイエティ5.0では政府や経団連などが多くの業界にこうした革新的な技術の導入による業界革新を提唱しています。
その中には製造業へのドイツのインダストリー4.0と同じような内容も含まれています。しかし、ソサイエティ5.0が提唱された平成28年から3年程度経過していますが、まだまだこの提唱内容からは程遠い現実社会があります。
ドイツのインダストリー4.0や中国の中国製造2025なども提唱から実際に結果が出始めてくるまでおよそ10年程度かかっており、目標に向かって歩き出したところということができます。
提唱の内容からとても壮大な目標とも言えますので政府や関係者もそう簡単に達成できるものではなく、長期的な視点での目標ということで年月をかけて普及させていくことを考えているようです。
実際にソサイエティ5.0を実現するためには自動運転の安全性やAIによる判断精度、ビッグデータ取得のサイバーセキュリティなど超えていかなければならない技術的なハードルも決して低くはありません。こうした便利な社会を実現するための研究者の育成なども長期的な目標となっているため、長い年月での社会構造の改革ともいえるでしょう。
まとめ/ソサイエティ5.0は技術立国再興への挑戦
現在の日本は人手不足や低賃金労働、低経済成長率で世界に大きく後れを取っています。
こうした状況が長く続いているため、それが普通になってきてしまっていますが、ソサイエティ5.0にはそれを技術の力で打破していこうという意気込みが感じられます。その目標は無論、簡単にクリアできるものではありません。しかし、有識者や政府関係者は、この困難な課題に取り組もうとしています。今までのロジックでは解決できない問題を既存の技術をさらに発展させることにより解決し、より暮らしやすい社会を目指していこうということが共通認識であるということが分かります。
ソサイエティ5.0は日本の技術立国再興への狼煙(のろし)となるのではないでしょうか?
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