海外からのメッセージ IoTやロボットを組みわせ、仮想現実の一歩先へ
2021.06.16 インダストリー4.0、ものづくり企業IoT、基礎
IoTやロボットによるテクノロジーを組み合わせていけば、ロボットと会話をしたり、遠くの職場と今一緒にいるかのように仕事をしたりと、まるでSF映画のような近未来の世界が想像できます。
VRなどの機器を使用した仮想現実の世界を超えて、仮想現実の世界がその場に実際にあるかのような拡張現実(Augmented Reality )の世界を考えた「Using IoT Augmented Reality to Enhance Workplace Operations」(IoTを活用した拡張現実で、職場の業務を効率的に)では、IoTを活用することで職場環境がこれだけ大きな変化をもたらすと述べています。
URL:https://www.iotworldtoday.com/2021/03/23/using-iot-augmented-reality-to-enhance-workplace-operations/
建設前の建物で、廊下を歩く??
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)とは、実際にそこにないものをテクノロジーを用いてあたかもそこにあるかのように見せることができるものです。
その技術を使えば、建設業界では大きく業務の進め方が変わります。
現在、図面や3D映像などから、建物の完成後の状態を想像してクライアントなどにも説明を行い、設計内容を確認をとるといった進め方をしていますが、VRやARの技術のコストが普及段階まで下がってくれば、建設前の建物の中の廊下を歩くということまでできるようになります。
今後、IoTなどで集められたデータをもとに、別の空間の建物やものを構築する仮想空間を作り出すデジタルツインと呼ばれる技術の普及は加速するものと考えられます。
アメリカ軍基地のロボットパトロール犬
アメリカのフロリダ州にはアメリカ軍で初めてロボットパトロール犬を導入した基地があります。
ロボットパトロール犬は基地内のオペレーションルームで人が操作しています。ロボットパトロール犬に搭載されたカメラやセンサーなどを通して、異常の状態がオペレーションルームの操作者に送られてきます。
基地の警備は、不審人物が武装していた場合、警備を行っている人が襲われてしまう危険性がありますが、デジタルツインにより、オペレーションルームでロボットパトロール犬からの情報だけで警告や不審者の通報を行うことで、より安全に警備を行うことができます。
ロボットパトロール犬の動きがおかしくなった場合も、遠方にいるサービスマンとリモートで接続して、不具合の原因を一緒に探ることができるのも、デジタルツイン、ARの大きなメリットです。
建設途中の打ち合わせも、より詳細に
ビル建設の際に、土木、配管、建築、電気など様々な業種のエンジニアが打ち合わせを行います。
その際には平面図や場合によっては3DCADの内容などをもとに、どの部分に何を配置するのか?という打ち合わせを行います。
しかし、これらの図面には100%すべてのものが書かれているわけではありません。敷設しようと思っていた配管がないなど、何もないと思っていた部分に配管を通したいという要望が後から出てくるということもあります。
こうした場合に従来の方法では図面に記載して、敷設ルートを想像するということが必要でした。
デジタルツインによるARが普及してくれば、建設前であってもどの部分に配管を通したいという要望をARの世界に模擬的に配管を通してこうしたいという打ち合わせができるようになります。
ARの世界に建物をもう一つ建設して、そこに入って行って打ち合わせを立体で行うということができるようになります。
様々な場所にセンサがあると、都市の生活ももっと快適に
AIを都市の様々な利便性を向上させるために用いられる計画があります。
スマートAIと呼ばれていますが、スマートAI向けの、特に交通システム向けのカメラの出荷台数が伸びると予測されています。
こうしたカメラによる利便性の向上の例としては、コインパーキングの空き状況を各自動車や、パーキングのセンサからリアルタイムに検索を行い、現在どこのパーキングが空いているのか?という答えをAIが瞬時に出すという活用方法が考えられます。
各センサやカメラの情報から、AIが割り出した答えが人が、多く集まり、予測が難しい都市の生活情報を提供し、より過ごしやすい場所へと変えていってくれます。
AR/VRなら、専門家とも簡単につながる
専門的な修理を依頼する場合、地方の僻地であれば、専門家の出張に多くの費用がかかってしまいます。
しかし、デジタルツインを施したリモートワークであれば、専門家との接続も簡単です。
あるポンプの専門的な修理を行う場合、リモートでの現地のワーカーへ運転時の温度や、どのボルトを外すのかといったより詳細な指示を行うことができるようになります。
ある部品の破損状況なども、現地のリモートでデジタルツインに接続されたスペースにおけば、どんな破損状況か? 温度はどのような状態なのか?といった具体的で立体的な情報を遠方にいる専門家のところに転送することができるようになります。
ARはビデオ機能などの従来の通信とは全く異なる
AR(拡張現実)は、今までのリモートでの業務と全く異なる体験を共有できるコミュニケーションであることがわかります。
これが普及した場合、今までの業務の進め方が大きく変わり、今まで以上に場所にとらわれない仕事の仕方や、現地に赴かなくともその場所の状況がわかる、といった仮想空間での仕事の割合が増えていくことになるでしょう。
もうこれはSF映画の近未来の世界といってもいいでしょう。そうした未来の世界がIoTやAIの普及が進めば、実現できるところにまで技術は進んでいることがわかります。
従来からあるコミュニケーションツールをさらに強化したことで、より場所にとらわれない仕事の仕方の選択肢や、都市でのストレスをより軽減できるようになるでしょう。